相変わらずに猛暑が酷いので、今年の夏は川遊びができる場所を求めて各地を彷徨っています。川遊びといってもなるべく水質が良く、臭いの無い場所を選びたいのでおのずと行ける場所は限られてきます。山梨や長野のアルプスの山奥に入ればお目当ての綺麗な川に行けますが、さすがに東京や神奈川からだと距離がありすぎる。
そんな感じで少し悩んでいたけど去年の夏に静岡県三島市の湧水を見て、一つの答えが見つかりました。富士山からの湧水なら水も綺麗で、アクセスの良い場所にある。そうここから探せばいいと!
ちなみに今回訪れた「陣馬の滝」へのアクセスですが、東京、神奈川からだと東名、新東名と中央道のどちら使っても同じような時間でたどり着きます。どちらも最寄りのIC(新富士IC or 河口湖IC)から40分ほどかかるけど、市街地の舗装された道を通るので山梨や長野の山奥に行くよりも手軽に綺麗な川に出会うことができます。
富士山周辺の湧水についてはこの後詳しく紹介しますが、水遊びをするなら今回紹介する「陣場の滝」か三島の「白滝公園」を強くオススメする。(そして機会があれば白滝公園のほうも紹介したい)
前置きが長くなりましたが、実は陣場の滝には2年前の12月に一度訪れたことがあります。その時は滝の水が少なくて、木々も枯れ果てていたので記事にしようとは思わず、とぼとぼと帰路につきました。
ただそれでも夏ならばどうかと頭の片隅に残っていたので、7月に日帰りで行ってみたので猪之頭地区と合わせて紹介したいと思います。
富士山・富士宮の湧水
陣馬の滝の紹介の前に、自分なりに富士山の湧水についてまとめてみました。
富士山の湧水といえば最初に思い浮かぶ街は三島市かもしれないけど、その他にも山梨県の忍野村やここ富士宮市など三島に負けず劣らずの素敵な街があります。富士宮市にある富士山本宮浅間神社の「湧玉池・神田川」は三島市の源兵衛川と雰囲気が似ていて、日本百選の滝に選ばれている「白糸の滝」は富士山からの湧水による潜流瀑で、その規模もさることながら非常に多くの観光客が訪れている。
富士五胡も湧水でできた湖で、以前に紹介した「太郎・次郎の滝」がある夏狩湧水群も富士山からの湧水だ。
これ以外にも大小さまざまな湧水スポットが富士山の周りには点在しているが、どうしてこんなにも多いのかと疑問に思ったので、ちょっと調べてみると湧水のメカニズムを国土交通省と富士宮市が丁寧に説明してくれました。
富士山からの溶岩は玄武岩質なので粘性が低く、とても流れやすい性質を持っていて、特に約1万年前の噴火の時には山頂付近から大規模な溶岩流を四方八方に流しました。その流れ出た溶岩の末端が三島であったり、白糸の滝であったりまたまた今回の猪之頭であったりする。
そしてこの溶岩はスポンジのように孔だらけなので、富士山に降った雨水や雪解け水は地下へ染み込むで溶岩層と溶岩層の間に入り込み、高さによる上からの水圧で押し出されるようにして末端から水が湧き出す、それが富士山の湧水の仕組みということ。(たしかに富士山の山体を起点とする川がないのは多くの水が地中に染み込んでいくからという説明はしっくりきました)

駐車場とトイレ
話が少し横道に逸れましたが、陣馬の滝の紹介です。
陣場の滝の駐車場は何ヶ所か用意されていますが、個人的にはトイレ前の駐車場と第一駐車場がオススメ。どちらも陣場の滝から歩いて2、3分の場所にあるのでアクセスが非常に楽です。(反対に第二駐車場になると少し離れていて歩いて5分以上はかかってしまう)



公衆トイレのすぐ横を川が流れてたので、どんなものか覗いてみたら、水が恐ろしいほどに澄んでいてたので、これから向かう陣場の滝への期待もあがり調子。

こっちは「第一駐車場」。陣場の滝の入り口のすぐ目の前にあり、15台ぐらいは停めるスペースがあります。夏の時期だとすぐに満車になると思うので、早めの時間に行くことをおすすめします。この日は朝6時に着きましたが、すでに何組か見物客がいたので、時間とともに満車になるのは間違いないかと。




陣場の滝への遊歩道
ここから陣場の滝の遊歩道がスタート。といっても滝までものの数分で到着するのであっという間です。





富士宮市の歩く博物館

遊歩道には看板や標識が多くありましたが、個人的に気になった富士宮市の「歩く博物館」という案内看板。帰ってから知らべてみると富士宮市のHPで紹介されていました。
富士宮市内に点在する文化財(歴史・民俗・自然など)を歩いて巡り、見て、ふれ、感じてもらうものです。市内に、各地域の特色を活かした24コースを設定しています。
https://www.city.fujinomiya.lg.jp/3010400000/p001925.html
市民の皆様はもとより、富士宮にお越しいただいた方々にも「歩く博物館」をご利用いただき、富士宮を知る手がかりとしていただければ幸いです。
いくつものコースがある中で、「湧水を活かした産業コース」は陣場の滝がある富士宮市猪之頭地区の湧水を中心に散策をするという素敵なコース。
余談ですが陣場の滝を楽しんだあと、このコースにある「撫川」に向かいましたが、どのHPにもその名前が無かったので地味に嬉しかったが、やはり滝や湧水を調べる時はそのエリアの自治体情報を見ることが大事だとわからされた。(このブログを始めてからは観光案内所にあるパンフレットからの情報収集も欠かさないでいる。地域情報の宝庫なのでオススメですよ)
富士宮市の保存湧水池

歩く博物館の看板のそばに「保存湧水池」という看板があったのですが、これにも良い意味で不意打ちをもらいました。「歩く博物館」同様にインターネットで調べてみるとまたまた富士宮市のHPから素敵な情報が出てきました。
https://www.city.fujinomiya.lg.jp/1030300000/p002191.html
- その湧水が年間を通して枯渇しないこと。
- その湧水が、水質汚濁に係る基準について(昭和48年環境庁告示第59号)に規定する水質類型AAの基準値を満たしていること。
- 湧水池及びその周囲が自然に近い状態であること。
水質汚濁のない自然の湧水池を「保存湧水池」として富士宮市が指定していて、全16ヶ所のうち7ヶ所が猪之頭地区にあるとのこと。富士宮市のHPを見るとどの保存湧水池も水を巡る旅としては良さそうなので、機会あれば回ってみようと思った。

ちなみにここ陣場の滝自体も猪之頭の市保存湧水池に指定されていて、指定時(平成4年)の湧水量は 1 日で約48,000mと、猪之頭地区のなかでも水量の多い湧水池となっている。



芝川?五斗目木川?

今回の記事を書くにあたって、きちんと整理できなかったのがこの五斗目木川の起点となる看板。
実は陣場の滝にかかっている川は「芝川」と「五斗目木川」の2つの説がある。(と自分の中では思ってる)というのも目の前に見えてる川はGoogleMapでは「芝川」で、「五斗目木川」の情報はどこにも無いんです。
「じゃあこの五斗目木川ってなんだ?」ってことでちょっとネットで調べてみると、どうもOpenStreetMapや国土交通省の河川データベースだと「五斗目木川」は陣場の滝にかかっている川で、「芝川」と明確に区別されていることがわかりました。

情報が錯綜していて混乱しているが、自分なりに整理してみると下の手書きの図のようになります。
まず陣場の滝は「五斗目木川」にかかっているので、GoolgeMapの情報は誤りで、その起点はさらに上流の富士花鳥園のあたりになる。ただそれだと現地の看板と辻褄が合わないので、これは後で自治体に聞いてみたいと思う。そして「芝川」は富士養鱒場内に起点があり、そこから降っていき、赤丸のあたりで「五斗目木川」と合流する。(富士宮市の「保存湧水池」を回る際にあわせて明らかにしたい)


朝6時とは言えすでにうだるような暑さだったので、そそくさと足を川に入れてみると、予想だにしない冷たさでびっくりでした。皮膚に刺さるような冷たさだったので、この旅からの新アイテムのタニタの温度計を使って水温を測ってみると12度を下回っていました。
なるほどこの温度くらいになると冷たいのではなく、『痛い』のか。。。

陣場の滝

陣場の滝は五斗目木川(それとも芝川?)にかかる直瀑と湧水による潜流瀑の2種類の滝で構成されている珍しい滝です。
写真の右側が川からの水で、左側に幾筋にも流れ落ちているのが湧水によるもの。芝川には有名な白糸の滝と音止めの滝がありますが、前者が潜流瀑で後者が直瀑となっている。なのでその2つを足して割ったのが陣場の滝だと思っています笑
どうも滝の左側の湧水は富士山からのものではなく、天子山地からの湧水らしいがはっきりとした情報がなかったので真偽は怪しい。。。
そしてなによりも水の透明度が半端なく、滝壺はターコイズブルーに輝いていて、阿寺渓谷や四国の仁淀川のブルーと比べても遜色がない。これはもう『陣場ブルー』といってもいいのでは思えるぐらい。





こちらは溶岩の隙間から水が湧き出ている様子。全く同じ光景を山梨県都留市の夏狩地区でも見たのでちょっとデジャビュ。溶岩層の合間から水が湧き出ているのはいつ見ても不思議な感じがしてまだ見慣れないものです。






陣場ブルーで川遊び
ここからの陣場の滝の周辺を散策した様子を紹介します。素晴らしい発見がたくさんあったので、もしかしたら陣場の滝よりもこちらがメインかもしれない、そんな熱の入れようです笑
まずは陣場の滝からトイレのあった場所に向かって進んでみました。川を歩くことになるけど、足首ぐらいの深さなので、サンダルなんかで十分です。

滝から数十メートル進むと川の流れが緩やかで少しだけ水が深い場所が見えてきます。川底までくっきりと見える透明度と腰ほどの水深のおかげで泳ぐこともできるので、陣場の滝で最も気に入ってるスポットです。
こういう街中や住宅地の中にある川だと臭いがきつかったりするものですが、近くから水が湧いてきてるので、そんな臭いも全く無く、本当に気持ちよく水遊びができます。ただ早朝ということで冷たすぎたのか数分でリタイアしました。。。笑

見てくださいよ、この青さ!こんなに透明度のある綺麗な川はアルプス級の山奥でしかお目にかかれませんが、湧水となると人の生活圏近くで拝むことができるのです。人工物である土手との対比に少しだけ脳が認識を拒んでいたのを今でも覚えています笑
仁淀ブルーや阿寺ブルーを見てきましたが水の綺麗さ言えば全く負けていません。それが高速道から40分程度で拝めるので個人的には陣場の滝の圧勝です笑




滝の入口の土手を上がった先に湧水を使ったビオトープがありました。地元の生徒さんたちが保護活動している場所らしい。どこにでもありそうな池なのに透明度だけは半端ないのは北杜の大滝湧水公園と全く同じだと思った。


猪之頭地区の散策
陣場の滝がある「猪之頭地区」は山梨県の忍野八海、静岡県の柿田川とともに「富士山三大湧水」の一つとなって、たくさんの湧水池であることは先に紹介しました。今回は陣馬の滝のそばの撫川・遠照寺の周辺を中心に湧水散策をしてみたので、それを紹介させてください。

撫川と遠照寺
まずはトイレのそばに小さな湧水の水路があったのでその周りを散策してみました。この水路は遠照寺を囲うように流れていましたが、「歩く博物館」あった「撫川」だと思われます。
小さな集落とお寺に繋がる清流に手招きされるように奥に進んでみると、陣場の滝や五斗目木川に負けない素敵な景色が広がっていました。








猪之頭地区にある湧水の水路



なかよし公園
陣馬の滝の駐車場から歩いて5分ほどの場所に湧水が流れている小さな公園がありました。雑草・水草が生い茂っていてちょっと残念ですが、木陰の中で流れている湧水を見てるだけでも十分に気持ちが落ち着きました。


夏の季節に訪れた陣場の滝。人家のすぐそばにある滝なのでそこまで期待はしていなかったけど、透き通った湧水が作るターコイズブルーの景色に完全に心を奪われてしまいした。あまりに綺麗だったので勝手に陣場ブルーと命名しましたが、これだけの透明度を持つこの滝は世にもっと知られてもいい。
猪之頭地区は陣場の滝の他にも湧水と戯れる場所が多くあって、特に遠照寺の取り囲むように流れている撫川は見てるだけでお腹いっぱいに。水辺の散策が好きな人や涼を求める人にとってこのエリアはちょっとしたオアシスなのかもしれない。
ただ本当に砂漠にあるオアシスのようにまだまだ市外・県外から認知されていないように思える。酷暑が続く中、みなが涼を求めて東奔西走してる近年だからこそ、集客が見込める有望な観光資源なのではと思ったがそれは余計なおせっかいだろうか。
猪之頭地区にまた行くと思うので記事もこまめにアップデートしていこうと思います。それではまた!
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